物語風に書いた歌詞を「ストーリーソング」と呼んでいます。(『作詞入門 実例で学ぶポイントとコツ』)ストーリーソングには場面設定が必要です。今回は、ストーリーソングの場面設定で使える書籍をご紹介します。
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場面設定に使える書籍『場面設定類語辞典』
『場面設定類語辞典』は、フィルムアート社から発行されている「類語辞典シリーズ」のひとつです。マンガや小説、脚本といった物語の執筆にはもちろん、キャラクター作りや役作りが必要な俳優や作詞家も活用できる、「全ての創作者」に向けた一冊です。

作詞の際、ストーリーソングを書きたい場合、自分が経験したことであればその場面などが思い浮かびやすいかも知れません。しかし、実際に経験したことには限界があります。創作においては、未経験のことをまるで経験したことのようにリアルに表現することも必要です。
場面設定に使える書籍『場面設定類語辞典』の特徴
『場面設定類語辞典』には、「郊外編」として「基礎設定」「学校」「自然と地形」、「都市編」として「基礎設定」「飲食店」「小売店」「交通機関・施設」と章立てされています。それぞれの章のなかで、50音順に場面が並び、辞書のように引けるつくりになっています。
たとえば、「学校」の「体育館」のページを開いてみると、「見えるもの」としてスコアボードやスピーカー、あちこちに転がっているボールなどが例として挙げられています。「聴こえるもの」としては反響音や、キュッキュッと鳴るスニーカーの音、ボールの弾む音など。「匂い」は汗など。「味」は金属製のホイッスルなど。その他に、「質感とそこから受ける感覚」「物語が展開する状況や出来事」「登場人物」なども記載されています。
「体育館」と聞いて思い浮かべるものはいろいろあっても、頭で想像するだけでは思いつかないものもあるはずです。また、『場面設定類語辞典』に書かれていないものが頭に思い浮かぶこともあるでしょう。『場面設定類語辞典』は、作詞での場面設定にも役立ちます。『場面設定類語辞典』をヒントに場面設定をすると、より具体的で立体的な場面を描くことができそうです。
ポイントは1曲に1場面
作詞において、とくにストーリーソングでは場面設定が必要ですが、注意したいことがあります。それは、1曲について場面をあまりたくさん入れない事です。歌詞は、紙芝居の1枚に収まる場面を1曲で書き、その場面で主人公が感じている気持ちに焦点を当てるイメージで書きましょう。『場面設定類語辞典』を使う際も、あれこれ場面を入れるのではなく、1つの場面に絞ってイメージを膨らませていくと良いでしょう。
まとめ
作詞も、ときに漫画や小説、脚本などのように場面設定が必要なことがあります。もちろんぱっと思いついたイメージなども大切ですが、しっかりと事前準備をしてから書き始めることにもメリットがあります。とくに、自分があまり経験したことのない場面やストーリーを描きたい場合は、『場面設定類語辞典』のような辞典が役立ちます。何となくのイメージで書き始めるのではなく、書籍などから自分の中にない視点を得ることで作詞力を高めてみてはいかがでしょうか。
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